朝、店の扉を開けたときに感じる空気が、少しずつ変わってきました。半袖では肌寒く、かといってコートにはまだまだ早い。そんな衣替えの季節は、実はオーダースーツにとって一番わくわくする時期でもあります。棚に並ぶ生地見本が、軽やかな夏物から、表情豊かな秋冬物へと入れ替わっていくからです。
今回は、これから店頭でどんどん存在感を増していく秋冬の生地たちを、駆け足でご紹介します。
秋冬の生地は「重さ」から選ぶ
生地には、1平方メートルあたりの重さを示す「グラム数」という指標があります。春夏向けは200〜240g前後の軽い生地が中心ですが、これから店頭に増えてくるのは280〜340g程度のしっかりとした生地です。
重さが増すと保温性が上がるのはもちろん、生地にハリが出て、スーツ全体のシルエットが綺麗に決まりやすくなります。同じネイビーの無地でも、夏の滑らかな生地と、これからの季節の起毛した生地とでは、鏡に映る印象がまったく違って見えるはずです。

フランネル:柔らかな起毛が生む上品な陰影
秋冬の生地の中でも、真っ先に名前が挙がるのがフランネルです。紡績の段階で糸をやわらかく仕上げ、軽く起毛させることで、独特のしっとりとした風合いと保温性を両立させています。
「キングオブフランネル」と呼ばれるメーカーがあるほど、伝統的に英国が得意としてきた生地で、スーツはもちろんジャケットとしても人気があります。滑らかな夏の生地とは対照的に、光の当たり方によって表情を変える、落ち着いた陰影が魅力です。
ツイード・ヘリンボーン:伝統柄が主役になる季節
ツイードは、太さの異なる糸を組み合わせて織ることで、素朴で力強い表情を生み出す生地です。ヘリンボーン(杉綾織り)やシェパードチェックといった伝統的な柄が多いのも特徴で、ビジネスシーンだけでなく、休日のジャケットスタイルにも幅広く活躍してくれます。
フランネルが「上品で落ち着いた雰囲気」なら、ツイードは「表情豊かでカジュアルダウンしやすい雰囲気」。どちらも秋冬を象徴する生地ですが、目指す印象によって選び分けていただくのがおすすめです。

チェック柄:遊び心を一枚に
秋冬は、色の深みだけでなく、柄そのものを楽しめる季節でもあります。グレンチェックやウィンドーペーンといった柄は、無地では出せない奥行きを一着に与えてくれます。
初めてチェック柄に挑戦する方には、遠目には無地に見えるくらい控えめなものから試していただくと、周りとの馴染みもよく、着こなしやすいと思います。慣れてきたら、少し大胆な柄にも挑戦してみると、オーダースーツならではの「自分だけの一着」という楽しみが広がります。

まとめ
フランネルの柔らかな陰影、ツイードの力強い表情、そしてチェック柄の遊び心。秋冬の生地棚には、これからひと足早く、いろいろな表情の生地が揃ってきます。
生地選びに迷われた際は、実際に店頭で生地を手に取りながら、お客様のご希望に合わせてご提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。ご予約はLINEからも承っております。



